2010年11月19日

広告屋の生き残る道

11/15、漫画家 赤松健氏が新しいマンガ配信モデルを発表した。
広告入り漫画ファイル図書館『Jコミ』。11/26公開らしい。
いわゆるマンガ1冊分まるごとZIPファイルである。

これだけなら従来からある RAW MANGA なのだが、彼の提案する配信サイトはここが違う。

1)圧縮配信されるマンガは(基本)絶版著作物である
2)圧縮配信されるマンガコンテンツには広告が同梱されている

違法スキャンでの流布を事実上止められない状況に加え、絶版された漫画から著作者への収益還元が不能であることから、このモデルの構築に至ったという。

ここには著作者と広告主とエンドユーザの新しい関係性の萌芽が含まれている。

・著作物を享受するエンドユーザは金品の支払いを行わなず、その利用代金は広告主が肩代わりする
・著作者は著作物とエンドユーザのの接触機会数に連動して、広告主より報酬を受け取る

これが本件のマネタイズ・モデルなのだが、このパターンと類似するものに「企業奨学金」がある。
「学業を積みたいと願う学生に対し、企業が足長おじさんよろしく、援助を行う」というやつだ。
今回の『Jコミ』にあてはめれば、「マンガを読みたいと願うエンドユーザに対し、企業がその入手手段を援助する」ということになる。また、逆に「マンガを読んでほしい(収入機会を確保したい)著作者に対し、企業がその配布手段を援助する」とも言える。
では、これらの場合に企業が得られるベネフィットはどこにあるのだろうか?

確かに「マンガファン」というセグメントに対するターゲティング広告チャネルという見方もあろう。だがそれだけなら、わざわざこんな辺境の、しかも絶版マンガに対しスポンサードするよりももっと効果的な広告手段がいくらでもある。圧縮保存で陳列するという手段も、商品やサービスの広告として必須であるはずの即時性を満たすとは到底思えない。では、いったいどこに?
狭義の「広告」という側面で考える間は、この答えは見えてこない。この仕組みを理解し享受するための切り口は「CS(Customer Satisfaction)=顧客満足」だろう。
この件における「顧客」は、可能性顧客すべてを指す。そして期待されるベネフィットは「被リスペクト」となる。
これはブランディングの一種にも見えるが、もっと本質的かつ絶対評価的得点といえよう。
平たく言えば、「エンドユーザにとってのマンガの閲覧費用を肩代わりしてくれる太っ腹な足長おじさんを、著作者にとっての収益を作品評価に応じ支払ってくれる有難いパトロンを、それぞれがきちんとリスペクトする」ことで成り立つモデルと言えよう。これを企業の社会貢献と云わずなんと言う!

同様のモデルは今後いろいろな場面で、形を変えてあらわれてくるだろう。そこでは、従来の「広告」という押しつけがましい中間手段はスポイルされ、新しい企業・サービスPRの基準としての「被リスペクト」値が重視され、メディアコミュニケーションを動かしていく潤滑剤になるにちがいない。タラ・ハント女史が『ツイッターノミクス』で連発していた「ウッフィー」なる概念と、まさに同じものだと言えよう。
そしてこの関係性の確立こそが、昨今その必要性を模索し迷走している広告業界にとっての新たな立ち位置のヒントとなるんじゃないのだろうか。
posted by bathyscaphe at 15:41| Comment(10) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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